仕事から帰ると、御近所さんが集まっていた。
私、「どうかしたの?」
御近所さん、「おたく、大変ね」
私、「何がですか?」
御近所さん、「おたくの隣の家、ゴミだらけじゃない」
私の隣の家がゴミだらけのことは、妻から聞いて知っていたが、大変と思ったことも無ければ、迷惑と思ったこともない。
私、「ただいま」
妻、「おかえり」
私、「御近所さんが集まってたよ」
妻、「知っている。お隣さんのことでしょ」
妻が知っていたのは、自分の敷地内であってもゴミを溜めないよう、回覧板が回って来ていたから。
私、「うちって、お隣さんの迷惑になっているの?」
妻、「今のところはなってない」
私、「・・・(今のところは?)・・・)
家の中から見ても、お隣さんの敷地内にはゴミが貯まっているように見える。
昼間、仕事で家にいない私と違い、家に居ることの多い妻は、口には出さないがお隣さんのゴミが気になっているようだ。
妻がお隣さんのゴミを口に出さないのは、お隣さんは良い人だったから。
お隣さんがゴミを溜めるようになったのは、御主人がいなくなってから。
御主人がいなくなると、お隣さんとは会話が減り、たまに挨拶をするだけ。
私、「お隣さん、挨拶はしてくれるの?」
妻、「こちらからすれば挨拶をしてくれたのだけど、この頃は挨拶を返してくれない時がある」
お隣さんは、私の親と同年代の高齢者、親にどうすれば良いのか聞いてみると
私の親、「お隣さん、ボケてはいない?」
私、「ボケてはいないと思うけど、挨拶を返してくれない時がある」
親、「ボケの初期段階かもしれないわよ」
お隣さんは、私には敵意を持ってないのか、こちらから話し掛けると答えてくれる。
自分の家の庭木を剪定していたら、
お隣さん、「キレイになるわね」
私、「もし良かったら、剪定しましょうか?」
お隣さん、「そうしてくれると助かる」
剪定するのに、庭に入らせてもらったのだが、大型ゴミが邪魔。
私、「どかしても良いですか?」
お隣さん、「そうしてくれると助かる、重くて運べなくて困ってるの」
お隣さんが敷地内に大型ゴミを溜めていたのは、大型ゴミの処分方法を知らないから。
私が住む町内には、お隣さんのような高齢者が沢山住んでおり、町内会でまとめて処分をすることにした。
町内会から依頼を受けたのは回収業者さん、大型ゴミの処分に困っている高齢者宅を回ってもらうと、あっという間にトラックが一杯になった。
それから、年に数回、回収業者さんに依頼するようになり、町内のゴミトラブルは無くなった。